2014年6月6日金曜日

節酒と禁煙

節酒の効果を検討した十〇グループの研究をまとめますと、一日のエタノール摂取量を少なくすると、最高血圧で三・六~八、最低血圧で、メーター水銀の降圧効果が認められています。米国高無圧合同委員会では一日にエタノール三〇グラム以下の摂取を勧めており、血圧以外に問題がなければその程度が適量と考えられます。具体的には、ビールであれば大びん一本、日本酒なら一合、ウイスキーならシングル三杯ぐらいとなります。またHDL(善果)コレステロールの濃度を上げる作用があり、ストレスの解消にも役立つ点があるのではないかといわれています。酒は生活の潤滑油にもなり、それを厳重に禁止する理由はどこにもありません。

アルコールを飲んだ直後には、血管が拡張し、むしろ血圧が上がります。飲酒後の入浴はきびしい禁止事項になっていますが、これは寒い風呂場に入って血圧か上がることだけでなく、飲酒によって拡張した血管がお湯に入ってさらに拡張して血圧か下がりすぎて事故につながる危険があったからです。飲んだ直後は血圧が下がりますが、習慣的に日本酒三合程度を飲み続けていると。長期的には血圧の上昇に結びつくという成績があります。なぜそうなるかは十分に分かっていません。

喫煙は長期的にみると心筋梗塞、脳卒中などの循環器病にとっては大敵です。欧米では高血圧症、高コレステロール血症、喫煙が心臓病の三大危険因子にあげられていますが、日本の状況もそれに段々近づきつつあります。ヨーロとハでは高血圧症患者を降圧薬を用いて治療した場合、心臓病の予防効果が非喫煙者のみ認められ、喫煙者には認められなかったという報告があります。喫煙している高血圧者にとっては、降圧薬をのむよりも禁煙のほうがより重要だということになります。

嗜好品のなかでコーヒーと高血圧の関係を聞かれることもしばしばです。コーヒーはカフェインをふくみ、血圧を少し上げるという報告がいくつかありますが、高血圧者はコーヒーを飲むべきでないと指導している専門家はいません。あまり多量に飲むのはひかえたほうがいいと思いますが、一日三杯程度なら問題はありません。