2016年2月8日月曜日

いろいろな排除反応

このような排除反応を統一的に見てみよう。排除反応といっても、病原体がどのような部位や状態にあるかによって、反応に参画する成員に違いがある。はじめに病原体が身体の表面に接触している場合を考えてみると、これは粘膜からの分泌などがその例になる。呼吸器における粘液の分泌完進、消化器における下痢などは、すべてこれに属する。これらの反応は病原体を身体の外に排出することから、病原体の感染環の形成に直接的に役立つことが多い。これを機械的排除反応と呼ぶことにする。

次の段階の反応は、炎症によるものである。これは、病原体が機械的排除反応によって処理されなかった場合に生じる。この場合、病原体は生体の組織や細胞に損傷を与えているので、毛細血管が損傷を受けることと関係して病原体の除去に働くのは、主に白血球といわれる細胞である。多くの病原細菌に対して白血球が食菌作用を発揮し、細胞内に取り込み、細胞の中で殺すことになる。

白血球による排除反応でも十分でない場合には、次の段階の免疫学的機能による排除反応の準備が始まる。炎症による排除反応にしても免疫機能による排除反応にしても、感染症や伝染病の場合には、機械的排除反応と同じく症状として認められることも多い。炎症的排除反応としては化膿がよい例である。

免疫学的排除反応は、種々のウイルスによる病気の場合に典型的に見られる。B型肝炎ウイルスによる肝炎がその例である。これは、ウイルスに感染した肝臓の細胞を特別なリンパ球が破壊するために、肝臓の機能が低下してしまうことによる。麻疹の際の皮膚の発疹などもその一例であるが、いずれもウイルスという異物を、感染細胞もろとも排除しようという免疫学的な排除反応の現われである。