2012年5月28日月曜日

野菜卸値の低迷、家計引き締めが影響?

今夏、野菜の卸値は安値が続いた。7月下旬の入荷増がきっかけだったが、その後入荷量が前年並みに落ち着いても卸値は上がりにくかった。商品全体の値上げが相次ぐ中で消費者がまず野菜から支出を引き締めているのでは、との声もあがり始めている。

東京都中央卸売市場での野菜全体の平均卸値は7月中旬まで高かった。流れが変わったのが7月20日前後。4―5月の多雨の影響で生育が遅れた関東産と、7月上旬から続いていた猛暑で生育が早まった東北産の入荷が重なった。

野菜の平均卸値は7月上旬に1キロ229円だったが、下旬には1キロ180円。前年より8%入荷量が多く、上旬と比べて卸値は2割以上も下落した。卸値は8月に入っても上昇しなかった。8月上旬は1キロ190円、中旬は200円で卸値は前年を1割下回る水準で低空飛行を続けた。卸売会社や各JAが首をかしげるのは入荷量の増加と比べて卸値の下げ幅が大きいことだ。8月上旬は入荷量が前年より8%少なかったが、卸値は12%も安かった。

安値の原因が消費の落ち込みにあると農水省や全国農業協同組合(全農)、卸会社は声をそろえる。「7月からの猛暑で食欲が落ち込んだ」「相次ぐ食品値上げの影響で財布のヒモが堅くなった」「ガソリン値上げの影響で消費者が郊外の大型量販店に足を運ばなくなった」などの声が聞かれた。ただいずれの説明も決定力に欠ける。スーパーのバイヤーは「安売りしても野菜が売れない」と嘆く。「ほかの食品の値上がりで野菜にしわ寄せがきているのでは」との見方も出ている。

8月後半に気温が急激に下がった後も安値は続き、キャベツは9月に入り産地廃棄が決まった。キュウリやトマトなどの果菜類を中心に8月の低温のダメージを受け、9月下旬には入荷が減るとみられる。このため「9月下旬からは卸値が上昇する」(東京・大田市場の卸会社)との声は多い。ただ、今後も様々な食品値上げは続き、消費の低迷も長引きそう。入荷量の減少しても卸値に反映されない可能性もある。