2013年7月4日木曜日

女性の就労と経営参加を当たり前に

どうも格差是正と叫んでいる人の中には、金持ちではないけれどもこの最低限のラインから考えればまだはるかに恵まれた生活を送っている人も多数いる。そんな連中にまで税金を差し上げる必要はない。他方で、本当に最低限のライン以下に落ち込んでいる人もどんどん増えているのに、むしろ支援の手が届いていなかったりする。このような事態を何とかするには、「格差解消」という相対的な概念を追求するのではなく、「絶対的な貧困の解消」、つまりある絶対的な水準(それはその時代ごとに相対的に決めることになるのではありましょうが)の下に落ち込んでしまった貧窮者の救済をもっと明確に進めるべきなのです。

ただおかげさまで日本の国では、増えてはいるのでしょうが絶対的に貧困な人は絶対的な少数者でもある。そういう人だけを救うという政策は民主主義的には不人気になりがちです。皮肉にも絶対的貧困者の予備軍が、かえって自分よりドの本当の貧困層を締め上げる策に賛成する、というようなことが起きかねません。これに対しては、最底辺に落ち込む人を皆で助けることで「自分もいつ絶対的貧困に落ち込むかわからない」という恐怖から皆で解放されようじゃあないか、という意識を社会的に醸成するしかありません。

恐らく以上をお聞きいただいたご年配の方の中には、非常に腹を立てられた方もいらっしゃいましょう。「年寄りを金づるか何かと思っているのかもしれないが、なめるなよ。我々からさらに金を奪おうというのか。そんな口車に乗せられて金を手放してみろ、リアエではないが、あとで子供からどんな仕打ちに遭うかわかったものではない」と。「年金も高齢者福祉も本当に大丈夫なのかわからないのに、虎の子の財産まで奪おうというのか」とおっしゃりたい方もいらっしゃるでしょう。私は増税をしろとか福祉の水準を切り下げろとか言っているのではありません。いずれ相続に回るだけの財産の余裕がある方に、「一部を早めに子供に渡して節税してはいかがですか」と申しているだけです。やるやらないは任意ですし、いつまでもそういうことを勧めるわけにもいかないので、時限を切って実施してはどうかと提案しております。

さらに申し上げれば、「年金も高齢者福祉も本当に大丈夫なのかわからない」のはなぜでしょうか? 政府が税収の二倍ものお金を使うという状況が慢性化して、もう首が回らなくなっているからです。無駄な支出は削るにしても、今や政府の予算の多くが医療福祉関連予算です。税収を少しでも増やすことを考えなければ、安心の未来は開けません。福祉予算が切り下げられたり、高齢者まで増税の標的になったりするくらいであれば、(余裕のある方の場合ですけれども)まずは財産の一部を気持ちよく子供世代(お好きであれば孫世代でもいいです)に渡すことで経済を活性化し、それをもって財政を守り自己防衛の一助とすることをお考えになってはいかがでしょうか。

前のところでは、高齢富裕層の貯蓄を若者に移転するだけでも大きな違いがあるということを申し上げて参りました。ここではもう一つ、さらに容易に手を付けることができる、しかも効果も極めて大きい策を申し上げます。戦後日本の経済を押し上げたロケットの一段目が団塊世代、二段目が団塊ジュニアであるとすれば、我々はまだ点火していない三段目のロケットを残しています。それは専業主婦に代表される、有償労働をしていない女性です。その力は、経済活動・企業活動での「男女共同参画」を進めることで、極めて有効に活用することができます。